原稿作成日: 2015年3月31日
最終修正日: 2025年2月28日
理工学研究領域の論文発表とピア・レビュー
<教材提供>
一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)
理工学研究領域の論文発表とピア・レビュー
はじめに
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一般に、研究機関に属する研究者は、自らの研究成果を世界に広く発信することを求められます。その方法は様々ですが、研究者にとって、それぞれの発信方法の特徴をよく理解していることが重要です。研究成果の発表に際しては、ピア・レビュー(peer review)と呼ばれるプロセスがしばしば用いられます。

ピア・レビューは、研究における品質の管理・向上のための基本的手法です。ピア・レビューの「ピア(peer)」は「同僚・仲間」、「レビュー(review)」は「審査」という意味です。研究におけるピア・レビューとは、投稿論文や研究費の申請書類について、同じ分野の研究者が評価することを意味しています。

ピア・レビューは、学術誌への掲載の判断や研究費の採択のほか、研究者の採用・昇進、大学および研究機関の評価など、研究に関する評価を支える重要な役割を担っています。中には学会での口頭発表やポスター発表の応募に際して、ピア・レビューを実施する学術団体もあります。ピア・レビューは、研究者たちによる自律的な意思決定の基盤となるものですが、ときに重要な倫理的問題が生じることがあります。査読者は原則、査読過程で得た全ての情報を機密として扱い、責任ある科学者として行動することが重要です。査読過程において倫理的問題が生じる可能性がある場合には、査読者は速やかに依頼者(編集者または研究費助成機関)に連絡し、指示を仰ぐ必要があります。


学習目標:
  • 研究発表の形態の違いについて述べることができる。
  • 研究論文と研究費申請書におけるピア・レビューの基本について説明できる。
  • 査読において生じる可能性のある倫理的問題について説明できる。
  • 倫理的問題に対する査読者の対処方針について説明できる。
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理工系における研究発表の形態
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学術誌論文

理工系においても、他の分野と同様に最も重視されるのが、学術誌の論文として研究成果をまとめることです。それが重要視される理由は、後述するピア・レビューによる査読制度が最も厳密に運用されているからです。そのため、論文の質がある程度担保されていると見なされ、その内容に対する学界での信頼度は大きなものとなります。

学術誌には様々なものがあり、学術的評価の高いジャーナルでは、一般に査読も厳しいものになります。学術誌は、以前は紙媒体のものを有料購読する形態でしたが、最近では電子媒体も同時に発行するもの、さらには電子媒体でしか発行されない雑誌も増えています。また、電子媒体の雑誌には、オープン・アクセス誌と呼ばれる、誰もが無料で読めるものもあります。

雑誌の発行が電子的に手軽にできることになったことに伴い、出版費収入による利益を狙った捕食出版が横行するようになりました。これは、査読を甘くすることで研究業績の論文数を手軽に増やしたい研究者の投稿を誘引し、論文掲載料を得ようとするビジネスモデルで、出版される学術誌はハゲタカジャーナルと呼ばれます。ハゲタカジャーナルへの論文掲載は業績の水増しを意図して行ったと見なされ、倫理的問題として扱われ兼ねません。そのため、所属機関によっては当該論文を業績にカウントしない、ペナルティーを科すなどの措置がとられる場合もあります。実際に論文を投稿する前に、投稿先の学術誌がハゲタカジャーナルと疑われていないかを所属機関等に確認すべきです。

著作権の帰属やオープン・アクセス誌に関する倫理的・経済的・運用上の課題については統一した見解ができているわけではありません。最近のこういった動きや新しい情報技術の発達を踏まえて、著作権の譲渡に関するこれまでの条項を改訂する出版社もあります。

従来、ジャーナルの出版に伴う費用は、大学・研究機関や希望する個人が購読費として負担してきました。一方、オープン・アクセス誌では、著者や著者が所属する機関が出版費として負担するなど、ジャーナル出版を安定させるための様々な方式があります。また、伝統的な(購読)ジャーナルでも、著者が自分の論文の出版費に相当する費用を出版社に払い、誰でも自由に閲覧できるようにする選択肢を提供する出版社や学会もあります。ページ・チャージを設け、別刷り印刷費用を著者に請求する代わりに、論文掲載自体には費用の請求を行わないジャーナルもあります。自分や同僚が書いた論文を、支障なく多くの人が読めるようにしたいという著作者の希望と、それに不可欠な査読・編集・出版経費を誰が負担するかという両立し難い問題をめぐる議論は、そもそもの論文著作権は著作者にあるという基本的な権利の主張と共に、しばらく議論が続くものと思われます。

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国際会議論文

多くの理工系において、学術誌論文の次に重要視されるのが、国際会議論文です。理工系の学会では、発表者がその内容を論文にしてプロシーディング(予稿集)に収録して発行する文化があります。その論文の長さは、学会にもよりますが、学術誌の論文に匹敵する分量を要求される場合もあります。その分、国際会議における論文発表が業績として評価されます。

国際会議においても、ピア・レビューによる査読がしばしば行われます。アブストラクトだけを先に投稿して、それに基づき査読が行われる場合もありますし、予稿集収録用の論文を先に投稿して、その論文に基づき査読が行われる場合もあります。採択率が3割程度の非常に競争率の高い学会もあり、その場合は後者の査読方法が用いられるのが一般的です。採択率の低い国際学会論文は、しばしば学術誌論文と同等、時にはそれ以上の価値があるものと評価されることがあります。

多くの場合、予稿集の発行は学会開催と同時になります。そのため、学会で発表しなくても論文が予稿集に収録されて発行されるということが起きます。最近は、業績数を稼ぐために、学会に論文だけ投稿して、実際に学会で発表しないNo Showと呼ばれる行為、あるいはポスター発表でポスターだけ貼って何も説明しない、通称「貼り逃げ」と呼ばれる行為がしばしば見られるようになりました。

当然、こうした行為は学会の本来の機能を破壊するものです。国際会議に論文を投稿して発表の意思を示した以上、会議の場で発表する責任があります。また、やむを得ない事情で発表できない場合は、代理の発表者を立てるか、事前に主催者に発表の取り下げの連絡をすべきです。

なお、国際会議のプロシーディングに投稿した論文が、発表内容の要約ではなく、学術誌の論文に匹敵する分量で、出版やオンライン掲載などのかたちで公開されている場合、おなじ内容の原稿を原著論文等のかたちで学術誌に投稿すると、二重投稿として問題となる場合があります。二重投稿への対応は、近年、厳しくなっていますので、関連する学会の二重投稿に関する規定を確認するとともに、懸念があるときは論文投稿時に編集委員会にすでに発表した関連論文等について報告するとよいでしょう。

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その他の発表形態

学術誌論文や国際会議論文以外に、最も身近な学術発表の形態として、国内での学会発表があります(予稿集はある場合もない場合もあります)。また、最近は速報性を重視したarXiv(アーカイブ)などのレポジトリ(データや情報が体系立てて保管されているデータベース)にて研究論文を公表することも増えています。arXivは研究テーマ毎に論文を収録する主題レポジトリですが、研究機関によって運営される機関レポジトリもあります。

また、目的が一般の研究発表とは異なりますが、特許出願も研究成果の公表方法の一つと言えます。特許権の取得を目指す場合は、原則として公表前に出願を済ませておく必要があります。発表後も1年以内なら新規性喪失の例外規定(特許法第30条)の適用を受けることができますが、外国出願をする場合を含め、種々の制約を受ける可能性があります。また、特許出願の場合、出願から公開まで一定の期間(日本の場合は原則1年半)があることに留意する必要があります。

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ピア・レビュー
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ピア・レビューの役割

ピア・レビューは、学術団体が学術誌に掲載される論文の質を確保したり、研究費助成機関が研究費申請に関する決定を下したりするための一次的方法です。ピア・レビューが機能するためには、全ての研究者が査読に対する基本的な心構えを持つ必要があります。例えば、指定された期限内に査読ができないほど多忙な時があるかもしれません。そのような場合は、査読を辞退することが適切な選択です。

ピア・レビューに関して、掲載論文の質を保証する機能が限定的であること、また革新的な研究の論文掲載や研究費の交付を妨げる可能性について、しばしば議論になります。しかし、ピア・レビューに代わる実用的な方法はありません(ただし、様々な改善方法が提案・実施されています)。ピア・レビューがなくなれば、学術誌の論文の質は低下し、良い研究は埋もれてしまうでしょう。仮に不完全であったとしても、ピア・レビューがなければ、すぐれた研究計画を判別し、良質な研究に研究費を交付することは実現されないでしょう。ピア・レビューがそれを目的としているわけではありませんが、査読過程において研究不正が発見されることもあります。

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ピア・レビューの種類

ピア・レビューにはいくつかの種類があります。オープン・ピア・レビューは、査読者と論文投稿者が共に匿名ではない場合を指します。シングル・ブラインド制は、投稿者に対して査読者の名前は伏せられますが、査読者は投稿者が誰であるかを知っています。ダブル・ブラインド制は、投稿者も査読者も相互に匿名であるものです。ダブル・ブラインド制の目的は、投稿者の立場や査読者との関係によって査読の公平性が損なわれることを避けることですが、査読者がインターネット検索などを用いて著者の名前を特定する可能性はあります。シングル・ブラインド制は、理学と工学で最も多く使われる傾向があります。シングル・ブラインド制の査読者は、匿名性を放棄することができる場合もあります。

学術団体では、学会前に提出される口頭発表の草稿やポスターの査読を行っています。このような査読は、学術誌における査読ほど厳格ではない傾向にあります。比較的新しいピア・レビューの形式として、投稿者が論文をプレプリントサーバに投稿し、同業の専門家がコメントを投稿し、査読の参考にするものもあります。

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学術誌の掲載論文

ピア・レビューは、学術誌に掲載する論文と、研究費申請書の査読の手続きの場合とで、評価の基準が異なります。学術誌は、論文のテーマに関する専門家に査読を依頼します。査読者が検討する主な基準は以下のとおりです。

  • 論文が学術誌の扱う範囲に当てはまるか
  • 研究が独創的かつ有意義か
  • 研究の方法は妥当か
  • 結論が証拠により十分に裏付けられているか
  • 論文の質は一定の水準に達しているか

査読者は、論文の採択に関する評価を編集委員会ないし編集者に報告します。一般に、(1)採択(accept)、(2)条件付き採択(minor revision)、(3)修正のうえ再審査(major revision)、(4)不採択(reject)、のいずれかで判断されます。査読結果に基づき、編集委員会ないし編集者が論文の採択に関する最終決定を行います。査読者の間で意見が対立する場合、編集者は別の専門家に査読を依頼するか、編集委員会の委員に助言を求めます。一部の学術誌では、副編集者が査読に基づいて決定の提案を行い、編集者が最終決定を下す場合もあります。

査読者は守秘義務があります。査読者は、依頼受諾時に利益相反について開示し、ピア・レビューの全過程において高い専門意識と中立性を持たなければなりません。

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掲載後のコメント

掲載・出版された論文に対して批判がある場合、ほとんどの学術誌では、読者による批判、著者による反論の機会を提供しています。読者による批判は編集者への手紙やコメントとして公開され、それに対する著者の反論も掲載が認められています。一部の学術誌においては、論文掲載後にインターネットのコメント欄で議論することもできます。このような批判的なコメントも、論文の質を担保する一形式として役立ちます。またパブピア(Pub Peer)のようなウェブサイトでは、出版された論文に関して匿名・記名問わずコメントの投稿ができます。このようなコメントにおいて、研究の不正行為(ねつ造、改ざん、盗用)や疑わしい研究活動の申し立てに関する証拠が提示される場合もあります。

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研究費申請書

国の研究費助成機関や民間の助成団体は、研究費交付を決定する際に申請書のピア・レビューを広く利用しています。その目的は、特定の研究者を優遇することなく、最も価値のある計画に研究費を配分することです。通常、研究費申請書は以下の基準において審査されます。

  • 研究の重要性
  • 研究方法の妥当性と独創性
  • 研究代表者と研究分担者の資格および過去の研究の評価
  • 研究代表者と研究分担者のエフォート率
  • 研究計画の実現可能性を裏付けるデータ
  • 申請された研究費の額の妥当性
  • 申請された研究が社会に利益をもたらす可能性
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ピア・レビューにおいて注意すべき事項
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公正性

投稿された論文の掲載・出版に関する決定や、研究計画に対する研究費の交付・却下を決定する者は、倫理基準を厳守しなければなりません。アメリカ化学会(ACS)は、2020年7月に最新版の「化学研究の出版に関する倫理指針(Ethical Guidelines to Publication of Chemical Research)」を発行しました[1]。この指針では国際的基準として、著者、編集者、査読者の倫理的義務を定めています。以下の説明は、ACSの指針を参考にしています。これらの倫理指針は、通常、研究費申請の審査員にも適用されます。

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機密保持

査読者は原稿を機密文書として扱う必要があります。論文の投稿者や研究費申請者の許可なしに、投稿された論文や申請書を第三者に開示してはいけません。例えば、教授が無断で学生に査読の手伝いをさせることは許されません。原稿を印刷したり、複写を行ったりした場合、査読後に全て破棄しなければなりません。査読対象の原稿が出版されるまで、査読者は許可なく査読対象の原稿から得た知識を用いることはできません。

アメリカ化学会(ACS)は、査読者が投稿者と直接コミュニケーションを取ることを禁止しています。査読者は、編集者の許可がある場合のみ自分の名前を明かすことができます。こうした規則は学術誌により異なるため、査読者は各々の学術誌の規定を確認し、遵守する必要があります。

なお、査読者に機密保持の義務があるからとはいえ、それが必ず守られるとは限りません。投稿した研究成果の査読が知的財産権の保護意識が低い査読者に割り当てられる可能性もありえます。例えば、そのような査読者が論文に書かれた内容を盗んで他国で特許出願した場合、投稿者が自分のアイデアを盗まれたと証明するのは非常に難しい作業になります。重要なアイデアは、論文投稿前に特許出願するなどの防護策をとることが必要です。

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専門性と客観性

論文や研究費申請書の査読を、最適かつ慎重に行うことは査読者の義務です。査読対象の論文を批判的に検討することが必要な場合もあるかもしれませんが、査読は個人的な攻撃ではなく、科学的知識に基づいた客観的な判断によって実施することが重要です。

ピア・レビューは人間による作業であり、査読者間の意見が一致しない場合もあるかもしれません。こうした意見の相違は、専門知識に基づいた見解の相違によることもあれば、ときには査読に必要な専門知識の不足の可能性もあります。査読依頼に対し十分な知識を持っているかどうか、査読者自身が確証を持てない場合は、査読を引き受ける前に学術誌の編集者や研究費助成機関の担当者と話し合うことが必要です。

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公平性

公平性とは、ある人の論文や研究費申請書を、他の人のものと公平に扱うことを意味します。投稿論文の受理や研究費申請の採択において、透明性を確保し、一貫した手続きを遵守することは、判断が適切に行われているという信頼を得るために不可欠です。その際、査読者を選ぶ人物が公正であることは、ピア・レビュー制度の公平性を維持するために不可欠です。例えば、学術誌の編集者や研究費交付の責任者が査読者として誰を指名するかによって、結果が大きく異なる可能性があります。編集者や担当者が適切に対処することも、公平性の重要な要素です。

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利益相反

ピア・レビューの過程に関する利益相反は、査読者の二次的な利益が評価の際に先入観や影響を与える可能性があるため、軽減もしくは排除されねばなりません。しかし、研究者が全ての利益相反を回避することは困難であるかもしれません。アメリカ化学会(ACS)は次のように推奨しています。

  • 査読対象の論文が、査読者が執筆中の研究、または出版済みの研究と密接に関連している場合、査読者は利益相反の発生に慎重に気を配る必要があります。
  • そのような疑いがある場合、査読者は速やかに原稿を返却し、編集者に利益相反または先入観の可能性について報告するべきです。
  • もしくは編集者の判断に基づき、査読者の利害について記名・記載した査読結果を投稿者に開示する可能性を理解した上で、査読結果を提出することもできます。
  • 著者または共著者が、査読者と個人的または仕事上のつながりを持つ人であり、それが判断に先入観をもたらすと判断される場合、その査読者は査読をするべきではありません。

ピア・レビューの過程は、査読者の公正性と客観性にかかっています。査読者は、自身の利益相反やその可能性がある場合、それら全てを学術誌や研究費助成機関に報告するべきです。疑念がある場合には、査読候補者は自身の利益相反を明示した上で、編集者または研究費の担当者に査読依頼についての判断を仰ぐ必要があります。

理工学研究領域の論文発表とピア・レビュー
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異議申し立て

論文投稿者もしくは申請者にとって、論文または研究費申請書の査読が明らかに不公平・不適切なものであると思われる場合があるかもしれません。そのようなとき、投稿者は学術誌の編集者に、申請者は研究費助成機関の担当者に連絡し、異議申し立てを行うことができます。ただしこうした異議申し立てを行う場合は、事前に信頼できる第三者(例えば同僚)に意見を仰ぐ必要があります。自身の判断の是非について検討・確認した後に、査読の公平性に深刻な問題があると判断された場合のみ異議申し立てを行うべきです。

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査読の不正操作

学術誌の中には、投稿者が論文を提出する際、査読者の選定のために3~5人程度の査読候補者の名前とメールアドレスを提出するよう求めるものもあります。ただし、これらは提案であり、実際にその候補者に依頼するかどうかは編集者が決定します。近年、投稿者自身による査読者のなりすまし事例がありました。査読者候補(例:Y田T郎教授)の実際のメールアドレス(例:Trou.Yda[at]xxuniversity.ac.jp)ではなく、著者が偽のメールアカウント(例:Trou.Yda[at]xxmail.com)を作成し、それを査読候補者のメールアドレスとして編集者に提出したのです。編集者がY田教授に査読を依頼すると、この依頼は投稿者が管理する偽のメールアカウントに送信され、投稿者は査読者を装って自分自身の論文の査読結果を提出しました。このような事態が見つかった場合、不正行為として論文は撤回され、投稿者は処分の対象になります。

理工学研究領域の論文発表とピア・レビュー
おわりに
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研究者にとって、その成果の発信方法は様々で、それぞれの特徴をよく理解していることが重要です。研究成果の発表に際しては、ピア・レビューの過程を経ることが多くあります。それを効果的に機能させるためには、論文投稿者、研究費申請者、査読者、編集者、研究費の管理者、各々が責任を持ち行動する必要があります。ピア・レビューの公平性と信頼性に対する人々の信頼を維持することは、今日の研究実施制度にとって不可欠なのです。

理工学研究領域の論文発表とピア・レビュー
[1]
American Chemical Society, “Ethical Guidelines to Publication of Chemical Research”, 2020.
https://pubs.acs.org/pb-assets/documents/policy/EthicalGuidelines-1593528502597.pdf(最終閲覧日2021年5月17日)


本単元は、APRINの研究者コミュニティの協力を得て、日本の法律・指針その他に沿って作成された教材です。作成・査読に参加した専門家の方々の氏名は別に記載させていただきました

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