介入研究チェックリスト
用語集
アドヒアランス
研究者の指示に従って、研究計画書の適切な実施に協力すること。服薬等遵守(コンプライアンス)に近いが、より被験者と研究者の共同作業的意味合いを加味したことば。
監査
研究結果の信頼性を確保するため、研究が該当規制および研究計画書に従って行われたかを確認する調査のこと。
交絡
薬や治療法など研究対象因子の効果が、研究対象外の要因と絡み合って正しく評価出来ないこと。
時期効果
時期Ⅰと時期Ⅱに違いにより生まれる効果。時期Ⅰが夏で時期Ⅱが冬なら気温の違いによってデータに違いが生じる可能性があること。
シャムオペレーション
偽手術や医療機器の偽操作のこと。侵襲性のある場合は、倫理的課題の検討が必須である。
バイアス
研究の計画、実施、解析などの過程で生じる偏りのこと。
非盲検バイアス
例えば、被験者が自分の治療群に期待感や不満感を持つ場合、介入効果が過大評価されたり過小評価されたりする可能性や、研究者が、被験者へ割付けを知ることで、評価が変わる可能性をいう。
不完全な追跡バイアス
介入群で脱落率が高い場合、介入効果が過小評価される可能性がある。
プラセボ
偽薬のこと。原則、有効成分以外は試験薬と同じで、被験者が割り付けをわからないように、形状や臭いも試験薬と同じでなければならない。偽薬製造には、時間と費用がかかることから、事前に実施可能性の検討が必要である。
盲検化(マスキング)
盲検化とは、割り付けの結果をわからなくすること。盲検化することで、意識的または無意識のバイアス(先入観など)を避けることができる。例えば、被験者が自分がどの治療を受けているか知っている場合、その治療に対する期待や不安が結果に影響する可能性がある。また、試験関係者がどの治療を行っているか知っている場合、その治療に対する自身の好みや偏見が結果に影響する可能性がある。被験者が割り付け結果を知らない単盲検と、被験者と担当研究者が知らない二重盲検がある。いずれの場合でも、評価者は、割り付け結果を知っていてはいけない。できる限り二重盲検が求められる。非盲検の場合でも、評価者の客観性は、極力担保されるべきである。盲検化を計画する場合には、ひとの配置とコストを含めた実現性の検討が必要であり、不可能な場合には、その試験の質について考察が求められる。また、盲検が崩れている場合があるので、計画時に注意が必要である。
持ち越し効果
介入Aの効果が介入Bの開始時点でも残存していること。持ち越し期間を超えるウォッシュアウト期間(washout period)が求められる。
モニタリング
研究が適正に行われることを確保するため、研究の進捗状況および該当規制・研究計画書に従って行われているかを確認する調査のこと。研究者にフィードバックされ、必要に応じて是正される。
ランダム化(無作為化)
ランダム化(無作為化)とは、各群を無作為に振り分ける手法。単純ランダム化置換ブロックランダム法層別ランダム化動的割り付けがある。計画案の段階で、専門家と相談するのが望ましい。
単純ランダム化:例えば乱数表や乱数発生ソフトを使って割り付けを行う方法。2群の症例数が揃わない可能性が高い。
置換ブロックランダム化:ブロックごとに割り付ける方法。例えば、A、Bの2群にブロックサイズ4で割り付ける場合は、(AABB)(ABAB)(ABBA)(BAAB)(BABA)(BBAA)の6通りの中からランダムに選択される。各群の症例数を制御できる。
層別ランダム化:群間の症例数以外に、結果に影響する因子の群間の偏りを最小化する方法。例えば、年齢や重症度を層別化し、これらが均等に割付けられるように工夫する。
動的ランダム化:これまでの割り付け結果を踏まえて、各群の症例数を適正化するために、割り付けを行う方法。



本単元は、APRINの研究者コミュニティの協力を得て、日本の法律・指針その他に沿って作成された教材です。作成・査読に参加した専門家の方々の氏名は別に記載させていただきました

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