The Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology (STROBE) statement: guidelines for reporting observational studies:疫学における観察研究の報告の強化(STROBE声明):観察研究の報告に関するガイドライン(https://www.equator-network.org/wp-content/uploads/2015/10/STROBE-Japanese.pdf)
米国NIHの介入(intervention)の定義は、「a manipulation of the subject or subject’s environment for the purpose of modifying one or more health-related biomedical or behavioral processes and/or endpoints」(1つ以上の健康関連の生物医学的または行動的プロセスおよび/またはエンドポイントを変更する目的で、研究対象者または研究対象者の環境を操作すること)とあり、研究対象者に作用させてその変化をみる行為としている。この定義だと、検査回数の増加や採血の追加は、研究対象者に作用させる行為ではないので、介入とはいえない(https://oir.nih.gov/sourcebook/intramural-program-oversight/intramural-data-sharing/guide-fdaaa-reporting-research-results/frequently-asked-questions-nih-clinical-trial)。いずれにせよ、判断に迷う場合には、倫理委員会に判断を委ねた方が良い。
原因と結果、すなわち曝露因子とアウトカムが同時に(一時点で)評価されており、どちらが先に起こっているかが不明なため、因果関係を示唆することはできず、相関や関連性のみ評価可能である(A associates B, A is related with Bのような言い方は良いが、A causes B, A is a risk factor for B のような表現はできない)。
脂質摂取量と閉塞性肺疾患発症との関連を検討する研究で、観察期間中平均して摂取総カロリーの30%以上が脂質による対象者を多量摂取群、30%未満を少量摂取群とした。食事中の脂質量や総カロリーの測定には一定の誤差が生ずるが、脂質摂取量と閉塞性肺疾患の診断検査の実施のされ方には一般的に差は無いと考えられる。 (⇒二値的な曝露の誤分類が疾病に関して非差異的である場合、効果の推定値はbias toward the null、すなわち「効果なし」の方向に働く)
無作為化比較試験で、新薬で強い副作用が起きたことでプラセボ群よりも多くの研究対象者が研究から脱落している場合、プラセボ群で死亡者の割合がより多く出たとしても、それは新薬群において脱落により死亡が確認できないことによるのかもしれない。
(⇒この場合、脱落が比較群間でランダムに起こっていれば、新薬の効果は過小評価(Bias toward the null)より保守的な結果となるのでそれほど問題とならないが、脱落が比較群間でランダムでない場合(偏りがある場合)解析結果にバイアスが生じる)
傾向スコアの推定には、曝露因子の種類によって2値ロジスティック回帰分析や多項ロジスティック回帰等を用いた様々な方法が提案されており、最近では機械学習を用いた手法等も提案されている。一方、マッチング後のデータ数は元データ数よりも必ず小さくなる。マッチング後のデータ数が少なくなるという問題を改善する一つの方法として、逆数重み付け(Inverse Probability of Weighting; IPW法)が行われることがある。
Washino S, et al. Association between immune-related adverse events and survival in patients with renal cell carcinoma treated with nivolumab plus ipilimumab: immortal time bias-corrected analysis. Int J Clin Oncol 28, 1651–1658 (2023). https://doi.org/10.1007/s10147-023-02406-x